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金融業界におけるレガシー脱却:AWS移行で実現するハイブリッドクラウド最適化

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35%のコスト削減

25%のの計画効率向上

60%の準備期間短縮

導入にいたる背景

高まる業務の複雑性、ライセンスコストの増大、そしてレガシー環境による技術的制約を抱えていた大手金融機関が、Aokumoと連携し、将来的なクラウドモダナイゼーションに向けた明確な戦略を策定しました。

ミッションクリティカルなシステムがレガシーインフラに依存し続ける中で、可用性、コスト、俊敏性に関する課題が顕在化していました。Aokumoは、オンプレミス最適化とAWS移行を段階的に統合したハイブリッドクラウドロードマップを作成。アプリケーションコードに一切手を加えることなく、即時のビジネス価値を提供しました。

この戦略により、計画サイクルを60%短縮し、35%のコスト削減ポテンシャルを可視化。単一障害点のリスクを軽減しながら、ハイブリッド環境全体の可視性と柔軟性も確保されました。

本事例は、コード変更を伴わない計画フェーズだけでも、いかに大きなビジネスインパクトを生み出せるかを示す好例となっています。

課題

この有力な外国為替ブローカーは、以下のようなレガシー環境に関わる本質的な課題を抱えていました:

  • 単一障害点の存在:複数の基幹業務が1つの巨大なOracleデータベースに依存し、可用性リスクが集中。
  • 持続不可能なオンプレ運用コスト:ハードウェア維持とソフトウェアライセンス料がIT予算を圧迫。
  • 技術的負債の蓄積:.NETで構築されたWindows Server上のフロントエンドが、モダナイゼーションの障壁に。
  • スケーラビリティの制限:モノリシックで非コンテナ化された設計により、水平スケールが困難。
  • 運用の非効率性:新規環境の構築に多くの手動作業が発生し、デリバリーが遅延。
  • コンプライアンス対応の難しさ:可視性の欠如により、トレーサビリティや監査対応が複雑に。
私たちは、クライアントが自ら運用し、拡張し、進化させていける基盤づくりに注力しました。それは、オンプレミスのままでも、クラウドへ完全に移行する場合でも対応できるよう設計されています。

Aokumoのソリューション

Aokumoは「すぐに移行」ではなく、戦略立案とアーキテクチャ設計を起点とすることで、計画段階から価値を生み出すアプローチを取りました。

  • オンプレミス最適化の標準化:TerraformとAnsibleを用いてIaC化を実現し、構成の整合性と再現性を確保。残存インフラの合理化と安定化を促進。
  • 段階的なコンテナ化戦略:.NETアプリケーションのDocker化により、可搬性とクラウド移行への準備性を向上。KubernetesやECSへの将来的な展開も視野に。
  • DevOpsアクセラレーション基盤:JenkinsとJFrog Artifactoryを活用したGitOpsの導入により、環境をまたいだ一貫性のあるCI/CDパイプラインを構築
  • AWS段階的移行設計:リファクタリング不要なワークロードを優先対象とし、AWSのマネージドサービス(例:RDS, EFS, S3)を活用した「Lift & Improve」型移行を推進。
  • 可観測性とコンプライアンス設計:SLOに基づく監視フレームワークを設計し、ハイブリッド環境全体での運用監視とトレーサビリティを強化。
  • CI/CDによる環境プロビジョニング:オンプレとAWS間で統一された自動化テンプレートを用意し、プロジェクト立ち上げや変更対応の迅速化を実現。

導入効果

設計段階から、以下のような具体的かつ実質的なビジネス価値が創出されました:

  • 25% の計画効率向上:ハイブリッドクラウドにおける優先順位とリスクが可視化され、IT・経営・業務部門間での意思決定が迅速化。新規施策の合意形成や予算確保がスムーズに進行。
  • 35% のコスト削減可能性の特定:OracleデータベースおよびWindows Serverライセンスの見直し、クラウド対応可能なワークロードの選定により、短期〜中期的なコスト削減領域を明確化。
  • 60% の準備期間短縮:明確な移行ロードマップにより、関係各所との調整工数・技術検証プロセス・リスク評価の所要時間が大幅に圧縮。全体計画のフェーズ移行が迅速に。
  • リスクの顕著な軽減:高可用性設計と分散アーキテクチャの導入により、単一障害点の除去に成功。障害時の業務影響リスクを事前に低減し、事業継続性の強化を実現。

まとめ

Aokumoは、金融業界特有の複雑で高リスクなレガシー環境に対し、業務を中断することなく実行可能なAWS移行戦略を構築・提供しました。コードの変更や再構築を行わずに、計画レベルで明確なロードマップと技術的青写真を提示し、コスト構造の最適化、可用性の強化、運用効率の向上を実現しています。

このプロジェクトは、クラウドモダナイゼーションにおいて「技術実装に入る前の戦略段階」がいかに重要であるかを証明するものであり、的確な分析と計画策定だけでも、組織全体に即効性のあるビジネス効果をもたらすことを実証しました。

ハイブリッドクラウドへの移行においては、単なる技術導入ではなく、業務要件や既存資産、将来のスケーラビリティを見据えた全体戦略が不可欠です。Aokumoは今後も、金融・規制業界における深い知見とテクノロジー専門性を活かし、段階的かつ確実なクラウドトランスフォーメーションの推進パートナーとして、持続可能な変革を支援してまいります。

"ハイブリッドクラウドは回り道ではなく、レガシーとクラウドネイティブをつなぎながら、ビジネスのスピードを落とさないための戦略的な選択です。"

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